事前作業で作成

目録作成作業は、現物の資料をみながら判断し、情報を確定することがたくさんあります。基本的には、各資料一覧表に目録項目を埋めていく作業となります。

  • 資料一覧/ 資料ID
  • 保存袋一覧/保存袋ID

もともと、書籍や映像作品のようなタイトルがついていない写真や文書などがほとんどなので、その資料の名称確定から作業が始まります。

資料からの情報

基本的に「地域資料デジタル化研究会目録規則」を作成しています。目録規則には、どのような形態の資料であってもすべての資料に共通で付与する「目録コア」と、資料ごとに付与する「メディア項目」およびさらに詳細の「目録アドバンス」の段階があります。
まずは、目録コアを付与することで資料の検索が可能になります。

  • 目録コア(暫定版)
    • 名称
    • 名称ふりがな
    • いつ
    • どこで
    • 誰が
    • どのような資料か
    • どのくらいの大きさ/重さか
    • 備考

※ 地域資料デジタル化研究会における地域資料のデジタルアーカイブのための目録規則を準備中

組織化に必要な情報

リチャード・ワーマン氏によるLATCHを基本に、情報を組織化して、目次・索引ページとして作成します。情報の組織化は、既存の知識と照らし合わせて、おおよそ探し求めている情報がどのあたりにあるのかの目星をつけることができ、探し出すための時間を最小限にすることが目的です。リチャード・ワーマンはまだインターネットが登場する以前、Googleでの検索が登場する前から、情報が溢れる時代における情報の組織化に取り組んでいいました。その彼がたどりついた情報組織化の5つの方法が LATCH (ラッチ)です。
 サスティナブル・アーカイブ・ギャラリーあまのがわにおいては、生成型静的HTMLにより全資料をHTMLファイルで作成します。ウェブシステムとしてのデータベースを用いない分、情報の組織化によって情報を探すことができるようにしています。

【参考資料】『情報選択の時代』『それは「情報」ではない』

Location: 場所

地図や地名、場所による情報の組織化です。あまのがわスタイルでは、資料が生成あるいは資料に関係の深い[地名]をもとに、国が定めて都道府県コードならびに市町村コードによって並べています。これにより北海道から沖縄までの資料を地域で探すことができるようになります。

Alphabet: アルファベット/50音順

リチャード・ワーマンは、英語圏なのでAlphabet(アルファベット)を用いていますが、日本において50音順(あいうえお順)によって資料を組織化しています。基本的には資料ではなく、保存袋を対象として、その名称にふりがなを付与。保存袋のふりがなをもって50音順に並べて、資料を探しやすくしています。

Time: 時間

資料が生成された時代/年月日を基本として情報を組織化します。保存袋には含まれている資料の代表的な制作年を西暦で付与していますので、西暦と和暦を併記したかたちで、年代順に並べることで 時間軸での資料の探しやすさを高めています。

Category: カテゴリー(種類)

資料の形態や種類によって組織化することも、資料の探しやすさにつながります。資料の種類、資料の形態などは、今後カテゴリーとして充実させていきます。

Hierarky: ヒエラルキー(階層)

ヒエラルキーという言葉を用いると少し理解が難しいかもしれませんが、大きさや数字の大小を降順/昇順で並べることを指していると考えてください。資料のサイズは最終的には収蔵する棚の大きなさどにも関係しています。

ここで、リチャード・ワーマンの上記 LATCH に加えて、今後の情報の組織化手法として次の2点を考えています。

Story / Narrative(物語)

実はまだ文字が発明される前から、人類は口述によって情報を組織化していました。それが物語です。時代や人物、場所や組織などが物語によって関連づけられており、脳以外の記録手法を持たない頃から「記憶」として情報を組織化する手法が「物語」であると捉えています。ここのデジタルアーカイブから物語を紡ぎ出すのはまだ少し時間がかかりますが、デジタルアーカイブの資料組織化の手法として「物語化」があることをおさえておきたいと考えます。

Playlist(リスト)

音楽サービスなどで、好きな音楽をプレイリスト化すること。これもまた情報の組織化の手法であると考えています。上記のLATCHや物語化だけでなく、「好きな情報を集めてみました」もまた資料組織の方法であると捉えています。国立国会図書館のジャパンサーチにおいても、登録利用者がさまざまなアーカイブから自分だけのギャラリーをつくる機能を提供しています。従来のデジタルアーカイブのまとまりを超えて、なんらかのテーマは嗜好によってつくる「プレイリスト」のかたちもまた、情報組織化の手法であると考えています。

保管と二次利用のために必要な情報

所有者

二次利用の許諾を得るためにも、資料の所有者を明確にし、二次利用の許諾等の手続きを容易にするための情報を記載します。

保管場所

現物資料の保存施設を記載します。ウェブで共有したアーカイブ資料の現物を見るための情報となります。

二次利用条件

基本的に、画像等のサムネイルサイズと目録情報は、資料所有者の同意のうえで、PD(パブリックドメイン)またはCC0、CCbyなどのできるだけ許諾等の手続きをとらずに利用できる条件にしたいと考えております。
ただし、オリジナルのメディアデータや現物の資料そのものを使いたい場合などは、必要な手続きによる許諾を必要とする場合もあるかと思っております。

目録作成時の注意事項

目録作成においては、[地域資料デジタル化研究会目録規則]に準じた作成を行いますが、パソコンでの作業の大原則として同じ情報を二度は入力しないことを徹底させたいと考えています。これは作業効率だけではなくコピーペーストの間違いや誤入力の元凶になります。マスター(台帳)をつくりlookup機能あるいはリレーション機能を用いながら目録データを作成することが大事だと考えています。