【アルバム】畜産・養蚕・農産加工_養豚

戦前から戦後間もなくは農家で家畜を飼うことが奨励されていて、家畜は家族の一員として大事に扱われていた。有畜農業の狙いは、家畜の導入によって(1)家畜の力を利用した過重労働の軽減(2)畜産物の生産販売による現金収入の増加(3)肉類や鶏卵の自家消費による家族の栄養確保(農業改良普及員は農業改良と共に生活改善も指導した)(4)家畜の糞尿を堆肥として利用することによる農産物の増産、であった。\n 昭和36年に制定された農業基本法により、農業経営の専門分野化が進んだ。一方で、農業関連産業の発展、さらに農家の労働力の減少などにより、農業を取り巻く環境は変化していった。この動きに合わせるように、牛や馬などの大きな家畜はもちろん、山羊や緬羊、豚などの中型の家畜、さらに鶏や兎など小さな家畜にいたるまで、農家の庭先から急激に姿を消していった。\n 農村地域の都市化、混在化も見逃せない。農家は住宅の改築や庭の整備に当たって、畜舎を整理せざるを得なくなった。さらに家畜を利用する効果は薄らぎ、農家から家畜の居場所はなくなった。庭先ばかりでなく、地域や集落の中から、大型畜産農家は撤退せざるを得なかった。\n 酪農、肉牛、養豚、養鶏の大規模経営農家は、環境保全と近隣居住者に対する配慮から飼育地を適地に求めなければならず、家族の一員として飼われてきた家畜は、隔離された環境へ移転せざるを得なかった。\n<内田宏著 「やまなし 農業よもやま話第5話」より抜粋>\n